小中学校全校を含む区立施設134か所で「実質」再生可能エネルギー100%導入。だが。

実質再生可能エネルギー」の電源は火力、水力やFIT電気を含む再生可能エネルギー、そして原子力発電も含まれています。これを「再生可能エネルギー」と呼ぶために、使用する電気の量に応じた「非化石証書」という証書を電気と一緒に購入しているのです。私たちは今後、区は真の再生可能エネルギーを選ぶ姿勢を見せることを求めています。その理由以下4点。

①原発の利用を容認できない

東京電力福島第一原発の事故から14年たった今も不安を抱えながら生活している人々は多くいます。私たちはこの地震の多い日本で、原発の利用を容認することはできません。「化石燃料を使用した火力や、原発は嫌だな」と思っても、仕組みとして、これまでと同じく選べず、火力や原子力の電源も利用していることになります。私たちはこの石炭火力や特に原発の電源も利用しながらも再エネ100%を掲げることは認めるべきではないと考えています。

新たにCO2排出量を削減することに繋がらない

再エネ100%を謳うための「非化石証書」は、すでに存在するFIT再エネ発電設備から発行されたものを利用するので、追加的に再エネ発電所の拡大につなげる効果は限定的。

再生可能エネルギーの大きな利点は、国際情勢に左右されない、エネルギーの国内自給率を上げること

「『実質』再エネ」で、しかも今回の契約は、「市場価格連動型」プランでの契約ということで、ほぼ全量を海外からの輸入に依存する天然ガスや石炭の価格が直接電気料金に反映されるため、今後のエネルギー市場動向に注意が必要です。

どんなふうに誰が作ったものなのか。過程も考慮して選ぶことが、環境問題への取り組みおいては重要

例えば、チョコレートひとつにしても、それが環境破壊や児童労働をさせて作られたものなのか。それとも、地域経済を活性化させ、雇用を生み出し、人権を守り教育をも充実させる、フェアトレードされたものなのか。など私たちが何をどう選んでいくのか。によって、地球環境に及ぼす影響は大きく違ってきます。

区が率先してCO2削減の取り組みを区民に見せていくのなら、どういうふうに作られたものを選んでいくのか。も見せていくべきです。

これまでと同じ電源構成の電力を購入し、非化石証書をつけての「実質」再エネだと、以上のことはできません。真の再エネを、高圧電力を供給できる安定した事業者も増えてきています。区立施設でさらに再エネを広げていくのなら、真の再エネを扱うコーポレートPPA※なども検討すべきです。

<「真の」再エネの活用は、ワクワクする要素がたくさんある>

再生可能エネルギーの活用はCO2削減のみならず、エネルギーの国内自給率をあげ、都市と地域の顔の見える関係を広げる可能性もあり、地域の雇用を生み出し、地域活性化や、営農型太陽光発電なら耕作地を活かし食料自給率の向上やエコツーリズムなど広がっていくことも考えられます。そんなワクワクする未来が想像できるエネルギーを、できるところからでも選ぶ姿勢を見せていくことを求めています。

庁舎屋上の太陽光パネルにて