性別のこと
私は心身ともに女性として生まれて育ってきましたが、小学校時代は卒業式まで6年間、「スカート」をはいたことはありませんでした。何だかはずかしかったし、髪もショートカットでよく男の子に間違えられていました。
多分それは幼稚園児よりも小さい頃、親戚の集まりで「あんたが産まれたときねぇ、お父さんうなだれてたから、みんな命になんかあったかと心配したの。そしたら男の子じゃなくてがっかりしてたんよ〜、子どもと野球したがってたから!なーんだそんな事!って笑ってたんよ~(笑)」という笑い話を聞かされていたからだと思います。(当時は野球=男の子のスポーツという感じ?)
ありのままにのびのびと育てられてきたのだけれど、けなげな子どもの私は、いわゆる「女の子らしく」することが両親をがっかりさせてしまうような気がしていたし(実際はそんなことはなかったのに)常に「男の子みたい」と思われる振る舞いや選択をしてきたような…中学校の制服ではじめて、スカートをはくようになり、男の子になりたがっていた自分からも卒業したような気がしていました。
大人になって実家に帰っていたときに、父が近所の人と「女の子もいいもんだよ〜。」と談笑しているのを聞いて、「女の子でよかったって思っててくれたんだ!」とじんわり涙が出るほどホッとしていた自分にびっくりしたことがありました。親戚のおばちゃんたちの「小さな笑い話」にこんなにも長い間とらわれていた自分にも驚きました。
自分の性を否定されたわけでもない、小さな笑い話にさえ、長年とらわれてしまうほど、「自分の性」とはとてもセンシティブで、その人の人格そのもので、常に思考について回るもの。それが否定されること、受け入れられないことは、想像を絶するほど辛いと思います。すべての人が自分の性を否定されることなく、自分らしい服装、振る舞い、選択をして生きてゆける社会でありたいです。
練馬区の人権・男女共同参画の情報紙では、最新号はちょうどアンコンシャスバイアスについての特集でした。区内の施設などで入手できるほか、区のホームページ「男女共同参画情報紙「MOVE」からもご覧になれます。過去には中高生向け特別号なども発行されています。