辺野古新基地建設に戦没者の遺骨がまざった土砂を使わないで!<陳情討論>

2024年第一回定例区議会の陳情の審査にて。以下の陳情が出され、否決されました。
平和・基地問題に対して活動している生活者ネットとしては、だまっていられない!と討論を行いました。
動画:17分45秒あたりから5分弱程度↓
以下原稿↓

陳情第44号

この陳情の要旨は、「沖縄戦没者の遺骨を含む土砂を、辺野古新基地建設の為の埋立てに使用しないこと」および「『戦没者の遺骨収集の推進に関する法律』を遵守し、日本政府が主体となって戦没者遺骨収集をさらに推進すること」を日本政府に対して求めるものです。

1945年、太平洋戦争末期に激戦地となった沖縄本島で約20万人の方が亡くなりました。特に末期に南部へと追い詰められ、子どもを含む多くの島民、兵士の犠牲者を出しました。中には集団自決に追いやられた島民、米軍の兵士もいます。未だに多くの遺骨が地中に眠っていることから、その遺骨がまざっている土を辺野古の新基地建設の埋立てに使うことはとうてい納得できないと、県民が反対の声をあげています。

30年以上遺骨を収集し続けている沖縄戦遺骨取集ボランティアの具志堅隆松さんは「大事なことは沖縄戦で多くの人が死んだということ。戦没者の血を吸い込んだ土砂を軍事基地に使うことは戦没者を冒涜しているということで許せない」と訴えます。ましてやかつて敵国として戦った相手の基地建設のために使うことは人道的に許されるものではなく、遺族にとっても許しがたいことだと考えます。

沖縄は国土面積のわずか0.6%ですが、 70.3%もの米軍専用施設が集中しています。

普天間基地周辺ではヘリの事故が相次ぎ、この8年間でオスプレイの墜落、不時着、小学校への落下物など、多くの危険な事故を起こしています。最も危険な基地とも言われています。1995年には米兵による少女暴行事件が起きたことをきっかけに、普天間基地を辺野古に移転させる案が出ました。

しかし沖縄県民が望んでいるのは、基地のない沖縄です。

玉城沖縄県知事は、昨年の沖縄復帰50周年シンポジウムで「軍事力の増強による抑止力の強化が返って 地域の緊張を高め不測の事態が生ずるのではないかという懸念を持っています。 米軍基地が集中しているがゆえに、沖縄を攻撃目標とすることは絶対にあってはならず、絶対に招いてもならない、というように考えています。このため機会あるごとに政府に対しては、こうした事態が生じることのないよう最大限の努力を払うとともに、平和的な外交 や対話による緊張緩和と信頼醸成に取り組むよう強く求め続けています。」と話しました。また、

「戦没者の遺骨の推進に関する法律」では、遺骨収集を国の責務と位置付けるとともに、遺骨収集の効果的な実施などの機関も昨年改訂され、5年間延長し、2029年度までとなっています。この地域の土砂を埋立てに利用するのは、この法律を国が守っていないことになります。

辺野古大浦湾の埋立ては、軟弱地盤が確認されたことで国が設計変更の承認を県知事に求めていましたが、知事は不承認としたことで、国は承認を代執行し、今年1月に強制的に工事を始めました。

玉城県知事は「沖縄県の自主性および自立性を侵害する国の代執行は、到底容認できない。」と訴え、専修大学の白藤博行名誉教授は「憲法が保障する地方自治をゆがめる問題。」と指摘しています。

地方自治をないがしろにする問題であることを私たちは無視するわけにはいきません。

戦没者に想いを馳せ、語り継いでいくためにも、遺骨混入の可能性がある土砂を辺野古基地の埋立てに使用するべきではないと考えます。

以上のことから陳情第44号に賛成の討論を終わります。

 

参考:「遺骨がまざった土砂を海に捨てるのか」と遺族は迫った 辺野古埋め立て進めようと政府が「むちゃ」ばかり:東京新聞 TOKYO Web

沖縄(座間味村)の平和之塔